晴朝雨夜

晴れた朝も雨の夜も、変わらない一日。

荒神

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文庫発売時に本屋さんで迷わず手にとって買ってしまったこの本。

2018年2月17日にNHKでドラマが放送されたので、そのタイミングで再読しました。ドラマを視聴した感想も含んでます。

 

初読の感想は、とにかく時代物でSFでファンタジーで、登場人物が多すぎる印象があるものの全ての主要キャラクターが魅力的で、ゆっくり読もうと思ったのに夜更かしして読みふけってしまって、やっぱり宮部みゆきさんってすごいわ〜、好きだわ〜、というミーハーなもの。
荒神」の意味するもの(「荒神」という概念そのもの、「荒神信仰」に関して)にあまり知識がなかったので、意味はあまり分かってないんだけどとにかくすごいことはよく分かるーーというのが初読の感想。

その後、たまたま摩多羅神に関する本を読む機会を得て、初読の時の飲み込まれるような感覚から一歩引いて、「荒神」という言葉からいろんなインスピレーションを得るという、とても幸せな体験をしました。(インスピレーションというか、勝手な妄想というか/笑)
ただ、まだ自分の中でも散文的な感覚で、荒神の意味するものに関してはきちんと構造を伴った思考になっていなくて、荒神は私の中では極めて感覚的な荒ぶる大山椒魚のままです。

なんだかね、つまり私たぶん、妄想を爆発させちゃったんですよね。
原作に居る、山に愛されたような彼女は兄妹間の契りで生まれた忌児なんじゃないのかな、とか。呪詛によって作られた土人形に命が吹き込まれたのは、その胞衣(胎盤)のせいなんじゃないのかなとか。
お話には1ミリも書かれてないんですけどね!自分の妄想のお陰で2倍くらい楽しかったんですよ。本当に(笑)
私自身、摩多羅神関連の本を読むまで、胞衣荒神のことや胎盤をちゃんと処理しないと祟ると言われていたことなど全く知らなかったので、なんだかすごく驚きました。
だって、もう私たち病院で生まれて、病院で産むんだものね。胎盤をどう処理するとか、考えないものね。自分が子供を産んだ時の胎盤は実際自分じゃ見てないものね。

ドラマは尺の問題もあるのでしょう、登場人物も整理して結構シンプルにまとめてありましたが、原作が「目がない」ことで生き物ではないことを強調していたのに、ドラマでは「目がたくさんある」ことで集合体である化け物ということを強調していたように思えて、ちょっとその対比が面白かったです。
でも、どちらもやっぱり、私の中では激しく怒れる 巨大山椒魚でした。
そして、朱音さまが美しかった。原作も美しかったけど、映像が本当にお美しかった……。